オバマ氏は大統領選で1800本の動画をYouTubeに投稿、グーグル、YouTubeのブランディング活用に意欲
グーグルは2009年1月26日、記者説明会を開催し、オバマ米大統領の大統領選における動画投稿共有サイト「YouTube」活用状況を明らかにし た。オバマ氏は品質より頻繁に支持者へメッセージを送ることを重視し、キャンペーン期間中に約1800本の動画を投稿。合計で1億回以上再生されたとい う。YouTubeとテレビCMと連携させることでテレビ視聴者数の増加も実現したという。
選挙戦終盤にテレビで30分のインフォマーシャルを流した際には、その放映3時間前にYouTubeに動画を投稿。その情報がオバマ氏のチャンネ ルを登録している支持者を通じてクチコミで広がり、「テレビCMを見る人が増え、テレビとYouTubeの相乗効果が起きた」(YouTubeを担当する グーグルのシニアプロダクトマネージャー徳生裕人氏)という。
選挙戦の最後3日間には、52本の動画を投稿した。こうした大量の動画投稿を支えたのは2人の撮影班に加え、30人のボランティアの動画作成ス タッフ。専用カメラだけでなく、ときには事務所のWebカメラを使って撮影し、クオリティより「頻繁にメッセージを送ることを重視していた」(徳生氏)の が特徴だという。
支持者による動画投稿も盛んで、「Vote Different」「Yes We Can」「Barack O'Bollywood」などが多く視聴された。また、対抗候補の支持者がオバマ氏の発言の一部を切り出して失言をしたかのようなビデオを投稿したときは、誤解を解くように発言全体を投稿するような動きもあったという。
大統領になった現在は、週1回の所信表明にYouTubeを活用。ハイビジョン映像も配信して、さらに「(YouTubeとしては)実験的にダウ ンロード可能にしている」(徳生氏)。許可を得るために大統領に提案したところ、「ぜひ。国民の税金で作っている動画なので」と返事があり、認められたと いう。
記者説明会では、2009年1月1日にグーグル日本法人の社長に就任した辻野晃一郎氏が2009年の事業方針を披露した。その一つとして、「(消 費行動モデルの)AISASのA(注目)とI(興味)の部分も、(グーグルが広告主に提供できる)一つの可能性として訴求していく」と説明した。従来、 AISASの中央に位置するS(検索)に訴求する検索連動型広告を中核に事業展開してきたが、2009年はYouTubeがA(注目)、I(興味)に効く メディアということを訴求し、収益化に向けて本格的に展開する考えだ。
また、米国ではバナー広告配信のダブルクリックを買収しており、「(日本のダブルクリックはヘラクレスに上場しトランスコスモスの子会社で)日本 では他国と(事情が)異なる」(辻野氏)としながら、「ディスプレー広告全般に力を入れていく」(同氏)と、ネット広告によるブランディング需要に動画と バナー広告ネットワークの両面から応えていく方針を示したた。
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